"瞑"
という文字から皆さんは、
何が思い浮かびますか?
目を閉じる、はっきり見えない、暗い…
などの意味を持つ"瞑"
一日のうち、目を閉じ、
静かに過ごす時間が
どのくらいあるでしょう。
眠るときぐらいでしょうか?
改めて、
"目を閉じる"
という行為をしてみる。
すると、普段は意識が向いていない
何かに氣付く事ができます。
鳥のさえずり、風が過ぎ去る音、
自分の息遣い、脈打つ鼓動…。
どのくらい、感じられているでしょうか。
書
というものは、日常に在り続けるもの
を呼び覚ましてくれると感じています。
墨を握り、硯に引き合わせ、摺る。
指先に、手のひらに、腕に伝わる波。
漂ってくる香りをゆっくりと吸い込む。
そして、穏やかに吐く。
筆を握り、吸い上がる墨の動きを追う。
紙に触れた瞬間に玄から白へ移りゆく流れ。
筆が紙を撫でながらあげる微かな声。
ゆっくりと筆を離し、静かに置く。
何も無かった空間に現れた形、
その瞬間の"わたし"を観る。
ひとつひとつの所作を丁寧に味わい、
全身に巡らせることで、
氣が付くことがあったり、
忘れていた大切な感覚が甦ります。
慌ただしく過ぎ去る時間の流れ。
その波に飲み込まれて、消えないように、
大切なものを繋ぎとめ、
既に皆さんの魂に刻まれた場所に、
いつでもすぐに還る事が出来ますように。
瞑書が
その一助となりますように…。
瞑書家 好朶かおり
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